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【中2数学 確率編】難問だけどクセになる良問シリーズ第6弾!

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みなさんこんにちは!マスムネ@mathmune532103です!

 

さて今回は,『難問だけどクセになる良問シリーズ!』略して『クセ問』!(笑)

第6弾です。

 

1ヶ月前にブログを始めて、このシリーズも第6弾まで来ました!

ちりも積もれば…ですね。100問作って、ええ感じの問題集になるようにすることを目指してます。みなさん、お付き合いください!

 

では、今日の問題です!

問.さいころを$3 $回投げて、$1 $回目、$2 $回目、$3 $回目に出た目を順に、$X $、$Y $、$Z $とする。(本郷)

(1) 出た目の積$XYZ$が偶数になる目の出方は何通りか求めなさい。

(2) $X<Y<Z$となる目の出方は何通りか求めなさい。

(3) $X≦Y<Z$となる目の出方は何通りか求めなさい。

 

 

 

はい!今回は確率の問題にしました!

マスムネは、中学校時代、確率が苦手でした。数えりゃわかるんだろうけど、なんか数えても数が微妙にズレる。

もしくは、上手いこと数えられないなぁということがよくありました!

 

今回の問題なんて、どうするの?ってちんぷんかんぷんレベルでした。

難問ではありますが、確率が分かりそうで分からない人にも届けられるエッセンスがありますので、最後まで見ていただけたら幸いです。

 

さて、確率の問題を解く上での超重要スタンスは何でしょう?特に中学数学はそうですが…

 

 

正解は、『あてはまる事象を数え上げる』ことです。

 事象ってのは、現象と思ってもらってもいいです。

サイコロなら、『1の目が出た』という事象から『6の目が出た』という事象まで、全部で6通りの事象があります。

 

結局、数学の確率は、『数学的確率』と呼ばれるもので、下の計算で決まります。

 $(数学的確率)=\frac{あてはまる事象が何通りか}{すべての事象が何通りか}$

 

つまり、『すべてで何通りか』が分かって、そのうち『あてはまるものが何通り』か分かれば答えは出ます。それを数え上げられればいいということです。

 

確率の問題の解き方の最終手段は、地道に数え上げることです。

 

それを踏まえた上で、今回の問題は、どう上手く数え上げるかが賢さの見せ所です!

その辺りを味わってください。

では解説していきます!

 

【解説】

(1) 出た目の積$XYZ$が偶数になる目の出方は何通りか求めなさい。

 出た目の数の積が偶数になるパターンは全部で7パターンです。

 ① 3つ中3つが偶数 1パターン  →  $(X,Y,Z)$=$(偶,偶,偶)$

    ② 3つ中2つが偶数 3パターン  →  $(X,Y,Z)$=$(偶,偶,奇)$  など

 ③ 3つ中1つが偶数  3パターン  →  $(X,Y,Z)$=$(偶,奇,奇)$ など

 

 みなさんお気づきでしょうか?これ,逆の方を見た方が早くない?ということに。

 つまり,『3つの出た目$X $、$Y $、$Z $の積が偶数になる』の逆である、

『3つの出た目$X $、$Y $、$Z $の積が奇数になる』の方がパターンが少ないですよね。

少ないどころか、1パターンしかありません。

 

それは、

③ 3つ中すべてが偶数ではない  →  $(X,Y,Z)$=$(奇,奇,奇)$  です!

この場合の数を求めて、全体からひけばいい。これは求めたい事象の逆、つまり余事象を数えて、全体からひいています。

余事象の方が、パターンが少ないときに、有効ですね!

『少なくとも〜』のときに、よく使うやつです!

 

3つのさいころの目の出方は、 $6^3=216$ 通り

そのうち、3つとも奇数になる場合の数は、 $3^3=27$ 通り

よって、求める場合の数は、$216-27=189$ 通り

 

(2) $X<Y<Z$となる目の出方は何通りか求めなさい。

いきなり、上手くやろうとすると思いつかないので、具体的な例を挙げてみよう!

すべての出方は、$6^3=216$ 通りで、そのうち、(2)にあてはまる出方をあげてみると、

 $(X,Y,Z)$=$(1,2,3)$,$(1,2,4)$,$(1,2,5)$,$(2,4,5)$,$(3,5,6)$,など……

ある程度、数え方が分かっている人は、地道に挙げていっても求めることはできるが、

この方法の問題点は、2つ!

①数え漏れがひとつでも発生したら不正解になる!

②時間があるかかりすぎる!

ことである。

もう少し上手く数えられないものだろうか?

ここで、例にもどってみて、何か気づかないだろうか?

『これ結局、$X<Y<Z$となる目の出方って、

$X $、$Y $、$Z $の数字がすべて異なる場合の数ってことやん!』

この発想になれるかが今回の難問の超重要ポイントである!

 

$X $、$Y $、$Z $のいずれも同じ数字ではダメで、

3つの目がすべて異なっていればいい。そして、その3つの異なる数字を小さい方から

$X $、$Y $、$Z $と割り振ればいいので、

結局$X<Y<Z$となる目の出方)=(6つの数字から異なる3つの数字を選ぶ組み合わせ)が成立する!

組み合わせってところも大事ですね!

これが順列だと、1,2,3 以外に、2,3,1や3,2,1も含まれてしまうので、順列で計算すると、当てはまらないものも含まれてしまいます。

 

よって、求める場合の数は、$_{6}C_{3}=\dfrac{6\times 5\times 4}{3\times 2\times 1}=20$(通り)

 

(3) $X≦Y<Z$となる目の出方は何通りか求めなさい。

 

これは、(2)に、$X=Y<Z$となる出方を加えれば答えが出せます。

では、$X=Y<Z$の出方をどう求めるか?

もう、求め方が分かっている人も多いかもしれませんが、

具体例を挙げてみましょう。

$(X,Y,Z)$=$(1,1,3)$,$(1,1,4)$,$(2,2,5)$,$(3,3,4)$,$(5,5,6)$,など……

これは、どんな場合の数に置き換えられるでしょうか?

『これ結局、6つの数字から、2つの数字を選ぶ場合の数と同じやん!』

となれたかな?

 

結局、$(X,Y,Z)$に使う2種類の数字を選ぶ組み合わせの数だけ、$X=Y<Z$となる目の出方は出てくる。2つの数字を選んで、小さい方を$X,Y$にして、大きい方を$Z$にすれば良いわけですから。

 

というわけで、$X=Y<Z$の出方は、$_{6}C_{2}=\dfrac{6\times 5}{2\times 1}=15$(通り)

よって、求める場合の数は、$20+15=35$(通り)

 

というわけで、今回は豪華3問分なので、とてもボリュームがありますが、非常に中身の濃い内容となりました。

 

ちなみに、今回の『他の問題に用できるッセン

略してOSは、コレです!

 『上手く数え上げるには、余事象を考えてみる!』 

『上手く数え上げるには、具体例をいくつか挙げてみる!』 

 

(1) (3つの積が偶数)=(全体)−(3つの積が偶数でない(奇数である))

(2) ($X<Y<Z$となる目の出方)=(6つの数字から異なる3つの数を選ぶ組み合わせ)

(3) ($X=Y<Z$となる目の出方)=(6つの数字から異なる2つの数を選ぶ組み合わせ)

 

これらに気づくには、今回のOSが必要です。そして、今回の問題のような置き換えができることもエッセンスになると思います。

 

ぜひ、これから確率の問題を解くヒントにしていただけたらと思います。

最後まで、ご精読ありがとうございました!

 

 

おすすめの本を紹介しておきます。興味のある方は、飛んでみてください。